「日本の水道水は世界的にも安全」そういわれることが多いです。
実際、世界の190以上ある国の中で、水道水をそのまま飲める国は11ヵ国しかありません。
日本もそのうちの1つです。
日本の水道水は、厚生労働省が定めた水質基準をクリアする必要があり、非常に水質がいいため、安心して飲むことができます。
しかしながら、近年PFASという物質に注目が集まっています。
PFASとは
PFAS(ピーファス)は、炭素とフッ素からなる人工的な化学物質で、1万種類以上の物質があると言われています。
PFASは、汚れがつきにくく、水や油をはじくという特徴があるので、様々な生活用品に幅広く使われてきました。
その中でも、PFASの一種であるPFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)は、防水スプレーやレインコート、フライパンのコーディング、ハンバーガーなどの包み紙などに使われてきました。
しかし、2009年以降、PFOSやPFOAは健康影響の懸念から世界中で規制が進みました。
現在は、PFOS・PFOAが使われなくなっていますが、人工的に作られた物質なので自然界で分解されません。
そのため、今もPFOS・PFOAは自然界に多く残っています。
健康影響
PFOS・PFOAは、自然界で分解されないので、人の体に入ると長い間、体内にとどまってしまいます。
永遠の化学物質とも呼ばれ、環境や健康への影響が世界中で問題視されています。
その中で、健康に対する影響には次のようなものが指摘されています。
- 発がん性
- 肝疾患
- コレステロール値の上昇
- 甲状腺疾患
- 免疫系への影響
身の回りのPFOS・PFOA
PFOS・PFOAは、自然界で分解されないため、世界中に広く残っています。
河川や地下水などにも含まれており、その水が水道水の原水になることで、私たちが使っている水道水にも含まれる可能性があります。
日本では、水道水中のPFOS・PFOAの合計値が50ng/ℓ以下であれば影響がないとないと設定されてています。
しかし、2022年度までの調査では、2,735地点のうち、250地点でこの値を超えた報告があります。
また、世界的にはPFOS・PFOAが各4ng/ℓ以下、ドイツでは20ng/ℓ以下となっており、日本より厳しい基準となっています。
水道水中のPFOS・PFOAの目標値
- 日本 50ng/ℓ
- ドイツ 20ng/ℓ
- アメリカ 各4ng/ℓ
日本でも、いくつかの地域の水道水から目標値を超えたPFOS・PFOAが検出されている。
体の中に入ったPFOS・PFOAは数年かけて体から排出されますが、入った量が半分になるまでは数年かかると言われています。
PFOSは平均5.7年、PFOAは平均3.2年で、体に入った量が半分になります。
家庭での対策
「水道水を飲むのはやめた方がいいの?」と思うかもしれませんが、すぐに危険というわけではありません。
PFOS・PFOAの健康リスクを減らすには、健康へ影響がないように摂取量を減らすのが大切です。
摂取経路の1つである水道水からの摂取量を減らすことが第一歩です。
以下のような方法で、家庭でもPFOS・PFOAの対策をすることができます。
- 浄水器
- ペットボトル
- ウォーターサーバー
令和6年の水循環に関する世論調査(内閣府)では、
- ミネラルウォーターなどを購入して飲んでいる(36.1%)
- 浄水器を設置して水道水を飲んでいる(34.3%)
のように対策している人も多くいます。
浄水器
手軽にできる対策の1つが浄水器です。
PFOS・PFOAの除去には、活性炭の有効性が報告されています。
PFAS除去対応と書かれた浄水器を使うことで、対策することができます。
浄水器には、蛇口に直接取り付けるタイプのほかに、据え置き型、ポット型など様々なものがあります。
ペットボトル
市販のミネラルウォーターを飲むのも有効な対策の1つです。
PFAS水質検査をクリアしているものならさらに安心です。
ウォーターサーバー
ウォーターサーバーもおすすめの対策です。
冷水・温水がすぐに利用できるものも多く、定期配送サービスなどもあるので、小さなお子さんがいる家庭では有効な選択肢です。
まとめ
- PFASの一種であるPFOSやPFOAは健康への影響から規制が進んでいる。
- PFOSやPFOAが新たに作られることはないが、自然界で分解されないので世界中に広く残っている。
- PFOS・PFOAは、発がん性、肝疾患などが指摘されている。
- 水道水からPFOS・PFOAが体内に取り込まれることがある。
- できるだけ体内に取り込まないようにする対策が第一歩。
- 対策としては、浄水器、ペットボトル、ウォーターサーバーを使うことがおすすめ。